第10話「大二世界の事情」
今、天界と魔界では混乱が起こり始めようとしている。
さらに問題なのはそれに地上───人間界も巻き込まれようとしていること。けれど地上人は誰一人としてそれに気がつかない。
人は元々天界と魔界に繋がりがあるモノながら、神力や魔力のように目立った力を持っていない。
それを補おうとするかのように文明は発達し、独自の方法で力を手に入れようとしている。
多分、彼等はそれに気がついていない。
それ故に人は哀しく、そして虚しい。
優れた力を持っている訳ではない。
持ったとしても、その力を何に使うだろう?
恐らくは支配。
あるいは征圧。
自分だけが力あるものだと思い込み、世間で言う“悪用”をするに違いない。
天界と魔界ではそう決めつけている。
だから人には力が与えられない。
全てがそうだと言うわけではないけれど。
ならば何故そう定義されているのか。
それは人間界ではない、天界と魔界に起きた事が原因で。
そのものは元々力あるものだったけれど、さらに力を手に入れたが故に暴走し始めた。
食い止めようとしたもの達は傷つき、統率者は「この世にあるのは平穏と安定ばかりではない」と思い知らされた。
そのものは繋がりのあるものにも容赦しなかった。
自我はあるが、理性はない。
衝動はあるが、抑制はない。
あの狂い様は、そうとしか言えなかった。
そして辺りを包んでいたのは“絶望”だった。
それに終止符を打ったのは───
結局、人には責任も力を使えない理由もなかった。
ならば何故か。
それは暴走したものと似た思考を持つものがいるから。
十人十色と言う言葉もあるくらいで、人は皆バラバラだ。
元から気が強いものもいれば、気が弱いものもいる。
元から気が優しいものもいれば、冷たいものもいる。
恐ろしい爪を隠し振る舞っているものもいる。
やはり全員があのものと似ているとは言えないけれど、危険すぎる。
だから人には力が与えられない。
けれど人には、神力か魔力を持って産まれてしまうものもいる。
それは前世が神族か魔族のもの。
前世の記憶を思い出すものもいるけれど、全てがそうと言う訳じゃない。
記憶があるからと暴走しないわけじゃない。
だから神族と魔族は目醒めたものを迎えにいく。
故に少年は天界へ赴いた。
自らの内に秘められた力を知らずに。
本来ならば、地上人は彼がいないという異変に気がつかない。
けれど二人の少年少女は、根本的なものは分からないようだが、異変に気がついている。
それから何かが始まり、何かが終わりを告げようとしている。
いきものの“始まり”と“終わり”のように。
行く先に待ち受けているのは混沌か、平和か、平常か。
それは誰にも分からない。
今、世界には混乱が潜んでいる。
それが動くかどうか。それによって未来の道は分かれる。
人は良くも悪くも、その結果を運命として受け入れるのだろう。
けれど、これだけはどうか憶えていてほしい。
先の運命を完全に決定づけるものは、この世にありはしないのだと。
アトガキ。次回から第二部になります。
でも本当に何書きたいんだろうね、自分……(汗
いやー、これ最後までちゃんと書けるのかな…と言うかどこまで続くのかな…(ぇー
いやー、自分で何書きたいのか分からn(殴)すいません。どうでもいいけれど、途中の十人十色の辺りの表現で私を当てはめるなら、
きっと「恐ろしい爪を隠し振る舞っているもの」あたりに当てはまると思う。だって腹黒+二重人格だもん☆(待て